ロジャー・フェデラーほど、テニスファンの羨望と尊敬を集めるプレーヤーはいない。記録や評判はともかく、ストロークやサーブの美しさでは、他の追随を許さないだろう。そして、アメリカの専門家であるポール・ハモリ氏によれば、フェデラーの美しいプレーの本質には、ボールウォッチング能力が関係しているらしい。BASELINEが報じている。
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ハモリ氏の話によれば、フェデラーのボールウォッチング能力は、人間離れした離れ業だと言う。
ボールを注意深く追えば追うほど、打球はクリーンな打点でヒットできる。しかし、ボールとラケットの接触は数ミリ秒しか存在しない。これは、脳の処理が間に合わない速度だ。つまり、従来の理論では、接触をリアルタイムで見ることは不可能とされてきた。しかし、ハモリ氏は別の仮説を提示している。
「適切な方法とトレーニングをすれば、プレーヤーはラケットとボールの接触を『見る』ことに限りなく近づけられます。このスキルを身につけることで、より良い、安定したショットの結果を得ることができます」
では、ボールウォッチングのスキルを身に付けるためには、どうすればいいのだろうか?ハモリ氏は、3つのトピックに分けて紹介している。
1:ボールが打点に来たら意識を目から手に移す。
ボールがヒッティングポイントに近づいたら、ボールから目を離し、打つ手に意識を移すべきです。例えば、試合でラインジャッジがサーバーから目を離してサービスラインに集中し、ボールが自分の視界を横切るのを待つのと同じです。脳はこの瞬間に盲目を補い、実際に接触を感知しやすくします。
2:目を細める
信じられないかもしれませんが、目を細めることで、余計な光や物を減らし、視野を狭めることができます。実際にフェデラーは、グランドストロークを打つ際、80%以上の割合で目を細めています。
3:ショットを眺めたい衝動を抑える
自分の打ったボールが、どんな軌道を描くのか眺めてしまうのは本能的なものです。しかし、ショットの行方を見るために頭を回転させてしまうと、体も一緒に回転してしまい、正しいスイングの順序を乱してしまいます。これを防ぐための一つの提案は、コンタクト後に一瞬目を閉じることです。フォロースルーの一部と考えてください。フェデラーがフォロースルーで頭を動かすことはありません。
フェデラーの正確無比なストロークには、驚異的な観察眼が活かされていることは間違いない。しかし、練習や工夫次第では、一般のプレーヤーでもレベルの高いボールウォッチングができるようになれる。その点において、ハモリ氏の研究はとても興味深いと言えるだろう。
(画像=rogerfederer)