マレーを引退寸前まで追い込んだ股関節の怪我はナイフで刺されるような痛みらしい。

 

アンディ・マレーは2019年に、股関節の怪我の悪化を理由として、一時的に引退宣言をしたことがある。では、実際に股関節の怪我はテニス選手にとって、どれくらいの程度の怪我なのか?ATPカップのフランス代表であり、ダブルスのスペシャリストであるエドゥアール・ロジェ=ヴァセランが詳しく語っていた。ATP公式サイトが報じている。

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マレーと同じだけヴァセリンも痛みに悩んでいた

 
 
 
 
 
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ヴァセリンは、2014年シーズンから右股関節の痛みに悩まされていた。当時はテニスコートよりも、理学療法士の治療室で過ごす時間の方が長かったという。ヴァセリンは、股関節の痛みを以下のように例えた。

「鈍い痛みではない。ナイフで刺されたような痛みを感じるんだ。靴紐を結ぼうとすると、体が痛みに反応してしまい、挙句の果てには本当に靴紐が結べなくなってしまった。痛みは朝から晩まで続いていたよ」

加えて、ヴァセリンの怪我は、家族との時間も奪い去ってしまったらしい。

7歳の息子とサッカーをしたんだけど、息子はプロアスリートである私よりも早く動けていた。『パパは走るのが遅いから、ゴールキーパーをやってよ』とまで言われてしまった。生活の質は最悪だったね。妻とビーチを散歩するだけでも、30分歩いただけですぐに座りたくなってしまうんだ」

ヴァセリンはマレーに相談して手術を決行した

 
 
 
 
 
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ヴァセリンは昨年の7月に、ダブルスの元世界王者であるボブ・ブライアンや、アンディ・マレーが受けた手術と同じ、”股関節表面置換術”を受けることに決めた。ヴァセリンは、実際にブライアンとマレーに相談しながら、手術をするか検討に検討を重ねたようだ。

「ボブは、すぐに手術をするように言ってくれたんだ。彼は素晴らしい施術だと言っていたから、それで僕もやるべきだと思ったんだ。マレーとも何度か話し合ったよ。彼は手術を受けた後、気持ちが楽になったと言っていた。最終的な決断は、自分の意思で決めたけど、あの時の生活の質を考えると、手術を受ける以外に選択肢はなかった」

しかし、術後のヴァセリンの回復は容易ではなかったそうだ。特に最初の1週間は、猛烈な痛みが彼を襲ったらしい。

「正直に言うと、本当に痛かった。4週間後には松葉杖なしで歩けるようになったけどね。さらに1ヵ月後には普通の生活ができるようになって、2ヵ月後にはリハビリを再開して足の力を取り戻した。コートに戻って再びアスリートの体を作るのには、かなり時間がかかったね。ゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりと。そして、12月の初めには、満足のいくフィジカルが出来上がった」

ヴァセリンは痛みから解放され、精神的にリセットされたようだ。そして、最後に彼は、とても微笑ましいエピソードを語ってくれた。

「僕は、手術を受ける前に息子へ『いいかい、坊や。3ヶ月後には君よりも速く走れるようになってるから、見とけよ』と言ったんだ。『そんなの無理だよ、パパ』と言われたけどね」

だから、去年の11月と12月に息子と一緒にサッカーをして、彼をボコボコにしてやった。息子はとてもショックを受けていたよ。もちろん彼は、僕が回復したことを喜んでくれた。息子よりも早く走れるようになれたことは、自分にとって最高の勝利だったかもしれない」

(画像=andymurray)