【ATP/テニス】BOSSがベレッティーニと契約した理由は準優勝したウィンブルドンでのスピーチ?

 

ATPを代表するプレイヤーであるマッテオ・ベレッティーニは、昨シーズンまで関係を築いていたlottoと決別し、今シーズンからBOSSのウェアを着て試合に出場している。今回は、tennis.comの記事を元に、ベレッティーニとBOSSが契約に至った経緯を紹介させていただきたい。

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服装がダサかったベレッティーニ

 
 
 
 
 
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16歳の時、ベレッティーニが好んで着ていたファッションは、Tシャツ、ジーンズ、ショーツ、スニーカーという高校生の典型的なものだった。友人との夜遊びや特別な日には、少しばかりドレスアップすることもあったが、ハイファッションに興味はなかったのだ。彼は以下のようにコメントしている。

「母が買ってくれたズボンを履こうとしたことがあるんだ。だけど、ブカブカだったんだ。高校で授業に出たら、同級生にバカにされたのを覚えている。それ以来、そのズボンは履かなくなったよ」

それから10年後、ベレッティーニはサイズの合わないスラックスやデニムを捨て、洗練された滑らかなスタイルに変身した。魅力的なルックスも重ね持つ彼は、今となっては世界有数のファッションブランドのヒューゴ・ボス(Hugo BOSS)と契約している。

BOSSがベレッティーニに惚れ込んだ彼の素質

 
 
 
 
 
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ベレッティーニはプロテニス選手としてBOSSを着用した初のプレーヤーだ。彼は、2022年のシーズン開始前にBOSSと契約したが、ベレッティーニが同メーカーを惹きつけた理由は、彼の幼少期から培われた資質にあったらしい。Hugo BOSSのダニエル・グリーダーCEOは、以下のように言及している。

「彼の精神と姿勢は、単に世界最高のテニスプレーヤーの一人であることを超えて、非常に印象的です。マッテオは、強い意志を示し、正しい決断を下し、世界中の人々にインスピレーションを与えるという、今のボスの象徴的な存在なのです」

ベレッティーニは、テニスプレイヤーであるクラウディアとルカを両親に持ち、加えて2人兄弟の長男だ。そのためか、ベレッティーニは礼儀正しく、魅力的で家族思いの男でもある。BOSSも彼のそういった部分に心惹かれたのだろう。ベレッティーニは、自身の持つ試合に挑む姿勢について次のように語っている。

「結局のところ、私はテニスボールを打つだけの男で、それをうまくやっているだけだ。自分は特別扱いされるべきだとか、自分は特別な人間だなどとは思っていない。親切でなければならない。マナーを守らなければならない。そして、それが私の目指しているものだ」

「自信を持つために、選手としての側面を作ってる。コートに立つ時は、自分がしてきたすべての練習を信じてるんだ。長年にわたって練習し、トレーニングしてきたことが報われる瞬間だよ。だから、そこから自信を持つことが出来る。相手を倒せると思うことが大事なんだ。誰もタダで勝利をくれるわけじゃないからね」

加えて、2021年ウィンブルドンで準優勝した時のスピーチも、BOSSとの契約につながったきっかけだったそうだ。

「これ以上は望めないよ。つまり、もうちょっとかな。私にとっては、これで終わりではない。これからの素晴らしいキャリアの始まりだ」

ベレッティーニのこの言葉に惚れたのが、BOSSのマーケティングキャンペーンを手がけてきた広告界の権威、トレイ・レアードだ。今年の2月にベレッティーニは『GQオーストラリア』に向けて「トレイと話したのを覚えている。彼は『あなたが(ウィンブルドンで)負けたときのスピーチを見て、心の底からこの人をチームに入れたいと思った』って言われたよ」と答えていたことがある。

今年の1月には、初のテニスコレクション『BOSS X Matteo Berrettini』が発表されている。メーカースポンサーにとって、写真撮影は恒例行事だが、ベレッティーニは初日から馴染んだ。カメラに映るのはお手の物なのだ。

「この世界では、多くの人が裏方に回っていることを学んだよ。撮影現場では、たった1枚の写真のために40人、50人の人が働いている。だから、とてもクールなんだ。慣れるしかないね」

全く期待されていなかったベレッティーニの成長

 
 
 
 
 
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ベレッティーニはジュニア時代、将来のリーダーを予感させるような活躍は少なかった。お世辞にも、メジャー大会で活躍するような有望株ではなかったのだ。同じATPプロで同郷のロレンツォ・ソネゴは、ジュニア時代のベレッティーニについて以下のように回顧していたことがある。

「僕らが若かった頃は、何も期待していなかった。テニスは、本当に下手だったよ。イタリアで開催されたプロヴァンス・カップに出場した時、僕たちは12歳だったんだ。そこで、初めてベレッティーニに会った。僕とマテオはまだ小さかった。なのに彼は今、身長が2メートル近くもあるんだよ」

「彼は今でも面白い奴だけど、メンタリティーが変わったね。彼はすべての試合に勝ちたいと思っているんだ」

ベレッティーニは、プロテニスの最下層ツアーであるフューチャーズで、メインドローに6回挑戦し6連敗した後でも、絶対に努力を惜しまなかったハードワーカーだ。高校卒業後の夏、結果を出せずにいたベレッティーニは疲労していたが、コーチのヴィンチェンツォ・サントパドレを信頼し、2人でプレーに磨きをかけ続けた。

サントパドレは、長期的な視野に立ち、ベレッティーニの育成に力を注いだ。そこで彼は、ベレッティーニのある武器を見つけることに成功する。恵まれたフィジカルから生まれる2つのダイナミックなプレー、すなわちサーブとフォアハンドだ。

「サントパドレと一緒に練習をするようになった時、私がコート上で持っているスタイルを作ることがとても重要だったんだ。自分の武器に集中することがね。そして、それを軸に選手全体を形成していった」

「私は爆発的でなければならなかったし、強くなければならなかった。私はあまり走らないタイプだから、相手を走らせるようにしないといけないんだ」

「私はかなり重いし、大きいんだ。だから、どれだけの試合、どれだけの練習をしなければならないかを考える必要がある」

タトゥーに込められた意味

 
 
 
 
 
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ベレッティーニと言えば、右腕に掘られた羅針盤のようなタトゥーがトレードマークだが、体には全部で5つのタトゥーがあるようだ。

「タトゥーは最も美しい芸術だ。自分のタトゥーは全部好きだよ。全部同じ人が彫ってくれたんだ。彼とは本当に仲がよくて、信頼しているし、一緒にアイデアを出し合う仲なんだ。それがアートというものさ」

「5つ全てに意味があり、ほとんどが家族を表してるね。弟の生年月日も彫ったよ。私の身近な人たちにとって、意味のあるシンボルがたくさんある。今後も増えていくことになるだろうね」

ベレッティーニが紡いできたストーリーは、まだこれからも続いていくだろう。今シーズンは右手の手術や、ウィンブルドンでのポイント強制失効など、キャリアの中で最も困難な局面を迎えていると言えるが、あらゆる困難を乗り越えて来た彼なら必ず解決策を導けるはずだ。

(画像=https://www.instagram.com/matberrettini/)