今年のモンテカルロは、ステファノス・チチパスが6-3, 7-6(3)でアレハンドロ・ダビドヴィッチ・フォキナを破り、2連覇を達成してフィナーレを迎えた。優れたベースライナー同士の戦いとなったわけだが、勝利の命運を分けたのは一体何だったのだろうか?そこで今回は、ATP公式サイトに載っていたクレイグ・オシャネシー氏の記事を元に、その秘密を暴いていきたい。
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— Tennis TV (@TennisTV) April 17, 2022
結論から言えば、チチパスの勝利にはフォアハンドとバックハンドのバランスが大きく関わっている。
デュースサイドでのフォアハンド
Winners/Errors | Tsitsipas | Davidovich Fokina |
Winners | 2 | 3 |
Errors | 9 | 15 |
Total | -7 | -12 |
チチパスはデュースサイドで、65本のフォアハンドをヒットしたが、フォキナは55本とやや少ない数に落ち着いている。ここで注目するべきは、チチパスがエラーを9本に抑えたことだ。対するフォキナは15本のエラーを出しており、獲得したウィナーの数と比べると、かなり効率の悪いフォアハンドを打っていたと言える。
アドサイドのフォアハンド
Winners/Errors | Tsitsipas | Davidovich Fokina |
Winners | 4 | 5 |
Errors | 5 | 7 |
Total | -1 | -2 |
では、逆側のアドバンテージサイドでは、どんな展開だったのだろうか?簡潔にまとめると、両選手とも、できるだけ多くの回り込みフォアハンドを打とうとしていた。チチパスは56本、フォキナは59本とやや多くの数を記録した。
ヂュースサイドと違い、アドコートで打たれたフォアハンドにクオリティの差はほとんど存在しなかった。フォキナは7つのエラーを犯しており、チチパスは5つのエラーを出した。
バックハンド
Winners/Errors | Tsitsipas | Davidovich Fokina |
Winners | 1 | 4 |
Errors | 14 | 15 |
Total | -13 | -11 |
フォアハンドとは逆に、フォキナはバックハンドのパフォーマンスで、チチパスよりもやや優位に立つ結果となった。興味深いのは、チチパスの84本に対して、フォキナは106本とかなりバックハンドを多用していたことだ。
フォアハンドとバックハンドの比率
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そして、最も注目していただきたいスタッツは、2人のストロークの内訳だ。
■チチパスのストローク内訳
フォアハンド=59%(121本)
バックハンド=41%(84)
合計=205本
■フォキナのストローク内訳
フォアハンド=52% (114)
バックハンド=48% (106)
合計=220本
チチパスは59%(121/205)の割合でフォアハンドを打つことができたが、フォキナは52%(114/220)とかなり低い。バウンドが高いクレーコートにおいて、フォアハンドは大きな武器になるため、積極的に使っていったチチパスの優位性はかなり大きかったと言える。
現代テニスでは、攻撃性が重視されることが多いが、マスターズ決勝という極限のプレッシャー下の中で、勇気を持って攻めたチチパスのプレーはまさに見事だった。今年の全仏オープンでは、昨年の雪辱を晴らす活躍が期待される。
(画像=@stefanostsitsipas98)