サボり魔だったノリーが世界ランクトップ10入りできた理由

 

イギリスの新しい代表格プレイヤーであるキャメロン・ノリーは、とうとうキャリア初のトップ10入りを果たした。そこで今回は、彼の知られざる過去について紹介させていただきたい。

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ノリーはプロへ転向する前に、アメリカのテキサス・クリスチャン大学でプレーしていた過去がある。そして今振り返ってみると、この時の経験が、彼のキャリアを大きく変えることになる。 

ノリーは元々、熱心に練習をするタイプではなかった。スペインのレジェンドであるダビド・フェレールには、若き日に、不真面目な練習態度を当時のコーチだったパイルズに叱られ、テニスは自分には向いていないと思い、ごく短期間、建設業に従事したというエピソードがある。ノリーも同じで、大学ではテニスへ情熱を打ち込むタイプではなかったのだ。しかし、原付バイクの事故にあって命の危機を感じたことが原因で、彼は練習態度を改めた。

ノリーと同郷であるアンディ・マレーは、昨年10月のインディアンウェルズで、ノリーがマスターズの初タイトル(対バシラシビリ)を獲得した時に、彼のハードワーカーぶりについて言及していた。

「彼は、すべてのテニス選手にとって、素晴らしいお手本だと思うよ。毎日、毎日、努力を惜しまず、スポーツに打ち込む彼のような姿勢は素晴らしい」

プレーの面で言えば、バウティスタ・アグートと同様に、ノリーは必ずしも速い展開でポイントを獲得しているわけではない。2021年シーズンの平均エース数は4.7本にとどまっており、どちらかと言えば、サーブに頼らずにポイントを築き、伸び伸びとした動きでリターンができるタイプだ。フォアハンドのスピンとループ、そしてフラットなバックハンドの組み合わせは、左利きであることも相まって、ライバルに厄介なミックスをもたらすと言える。

今シーズンはデルレイビーチでタイトルを獲得し『マスターズで優勝した一発屋』というイメージを払拭したノリー。今後も彼は、自分なりのペースで勝ち星を積み上げていくことだろう。

(画像=@norriee)