【全仏オープン】運営がナイトセッションを取り入れた理由とは?【収益が〇〇%増加】

 

2022年全仏オープンでは、あるテーマを巡って大きな議論が交わされている。それは、上位人気選手の試合スケジュールだ。昨シーズンからローラン・ギャロスのセンターコートには、開閉式の屋根と照明が取り付けられ、それに伴いナイトセッションが行われるようになったが、私たちが思っているよりも、夜間の試合は選手たちを消耗させるのかもしれない。puntodebreakが報じている。

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ナイトセッションについて語るジョコビッチ

ローラン・ギャロスでプレーする選手は、日中と夜でまったく異なるスタイルのプレーをしなければならなくなる。

デイセッションは、湿度が低く、ボールの重さが軽くなり、クレーでバウンドした後のボールの走りも速くなる。デイセッションの恩恵を最も大きく受ける選手は、やはりナダルだろう。彼の代名詞でもあるスピンボールは、この時間帯に最大限の効果を発揮する。

一方、ナイトセッションは湿度が高く、寒さも厳しくなるため、ボールの重さが顕著になり、非常に遅いテンポでラリーすることになるのだ。その結果、ボールの回転が少なくなり、本来クレーではベストショットとされるトップスピンショットの危険性が軽減してしまう。

デイセッションとナイトセッションのプレーの切り替えについて、ジョコビッチは今大会で以下のように語っていた。

「対戦相手によって、夜にプレーするのがいい場合もあれば、昼間にプレーするのもいい場合もある。今日は夜の9時からではなく、昼間にプレイする方がよかった。条件が大きく異なっていたんだ。寒くなると、遅くなる。バウンドが小さく、夜間はテンポが遅くなり、相手にとって有利になることもある」

つまり、昼はスピナー系の選手が有利になるが、逆に夜はボールの異質な変化に対応する柔軟力が求められるということだ。選手たちにとっては、全く別物のサーフェスへ変化していると感じられるかもしれない。

ナイトセッションを取り入れた理由

全仏オープンの運営は、なぜナイトセッションを取り入れたのだろうか?これにはかなり複雑な利権問題が絡んでいる。

フランスでは、公共放送であるフランステレビと、民間サービスであるAmazon Primeがテレビ放映権を共有している。デイセッションは、フランスの公共放送であるフランステレビで全編放送されるが、一方、Amazon Primeは有料サービスであり、どうしても公共放送と比べると視聴者からのフィードは減ってしまう。

Amazon Primeは、2019年に2021年から2023年までの大会権利を獲得したため、シモンヌ・マチューコートでの全試合と、フィリップ・シャトリエコートでのナイトセッション、さらに2022年のローランギャロス決勝戦を放送できるようになった。

Amazonがテニス界に進出してきた効果は絶大で、収益が25%増えたことも報道されている。つまり、全仏オープンの主催者は、ナイトセッションを取り入れたことで、選手達が快適にプレーする機会と引き換えに、トーナメントの利益を増加させた立場にあるのだ。ディレクターであるアメリー・モーレスモは、選手側とテレビ局側の両方を満足させなければならない対立の渦中にいると言える。

(画像=https://www.instagram.com/rolandgarros/)