【ATP/テニス】ダブルフォルトしまくりのズベレフがなんで強いのかが分からない。【海外記事和訳】

 

アレクサンダー・ズベレフは、2021年にキャリアの中で最も成功したシーズンを過ごした。そんな彼の強さの正体は一体どこに隠されているのだろうか?tennismagazinに著名なテニスライターであるフィリップ・ヘーガー氏の記事が載せられていたので、今回はそれを和訳して紹介させていただきたい。

【関連記事】プロのテニスコーチの給料ってどれくらい?【現役のコーチが解説してくれた】

ズベレフの強さの秘訣はセカンドサーブの成長

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Alexander Zverev(@alexzverev123)がシェアした投稿

ズベレフが何よりも成長した部分はセカンドサービスの改善だ。彼がセカンドサーブで獲得するポイントの確率は、2020年には45%、2019年には44%にとどまっていたのに対し、現在は52%まで高めることに成功している。加えてダブルフォルトの数は、1試合あたり5.68本(2019年)、5.64本(2020年)とツアーワーストの数を記録していたが、今シーズンは1試合あたり3.66本まで減少しており、獲得したサービスエースの数もほぼ変わっていない。

セカンドサーブの改善は、ズベレフの精神面、ひいては試合内容に多いな影響を与えている。これまでのズベレフは、ディフェンシブにラリーを引き伸ばし、相手のミスを期待しているように感じられることも多かったのだが、今は全く違う。セカンドサーブでのポイント獲得率が7%も上昇するのは、このスタッツにおいて新次元の数字だと言えるが、これはサービスゲーム全体のクオリティにも影響を与える。

例えば、ズベレフは自分のサーブでのポイント獲得率を、2019年の65%から2020年には67%へ、そして今シーズンは69%まで増加させている。 さらにポイント獲得率が上がるということは、当然サービスキープ率も上がるということで、2019年ズベレフはサービスゲームの80%をキープし(良い数字だが、グランドスラムでの勝利の可能性を考えると不十分だと言える)、2020年は83%をキープしたが、2021年はさらにその上を行く86%をキープした。

ズベレフはリターンゲームでも強くなっている

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Alexander Zverev(@alexzverev123)がシェアした投稿

また、ズベレフが成長した部分はサービスだけではない。リターンのパフォーマンスも若干向上しているのだ。その証拠として、2021年にズベレフが記録した1試合の総ポイント獲得率の平均は54%と、前年の2020年に記録した53%から少しながら成長していることが分かる。ここ数年の間、ジョコビッチが55%という数字を記録していることを念頭に置けば、ズベレフと彼にはさほど大きな遜色はない。ちなみにメドベデフとチチパスも、2021年には54%の確率でポイントを獲得している。

まとめると、統計的にはズベレフの弱点はほぼ存在しない。メドベデフとジョコビッチは今シーズン、サービスゲームを87%の確率でキープしたが、先述した通りズベレフも86%の確率でサーブをキープすることに成功しており、世界最高のサーバーの1人だと言えるだろう。唯一ズベレフがトップ層の中で劣っているとすればリターンゲームの質の悪さだが、ズベレフが今シーズンにサービスゲームをブレイクした割合は28%とそこまで低いわけではない。トップ10の中ではナダルの36%(彼は2021年にほとんど得意としているクレーコートでしかプレーしていないため、この数字には注意が必要)、ジョコビッチの35%、メドベージェフの31%とズベレフにはまだまだ壁があるように見えるが、彼は着実に成長していると言えるだろう。

ズベレフは接戦にとても弱い

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Alexander Zverev(@alexzverev123)がシェアした投稿

では、ズベレフがグランドスラムで優勝するために努力しなければならないポイントは何か?それは接戦に強くなることだ。ズベレフが苦しんだグランドスラム大会での敗北は、すべて接戦だったことはテニスユーザーの方ならよく分かるだろう。年始の全豪オープンでは、ズベレフが4セットのうち3セットで1ブレークのリードを持っていたにも関わらず、ジョコビッチに4セットの接戦で敗れた。冷静になってこの試合のスタッツを見返してみると、ズベレフとジョコビッチの獲得したポイントの差はわずか10ポイントしかなかった。

全仏オープンでのチチパスとの準決勝も惜しかった。ズベレフは第12セットを棒に振ったものの盛り返し、第5セットでは、チチパスから3回続けてブレークチャンスを引き出すことに成功していた。しかし結果的には、この試合でもわずか10ポイントの差で敗れている。ウィンブルドンでは、フェリックス・オジェ=アリアシムと3ポイント差で敗北し、USオープンでは、ジョコビッチにわずか8ポイント差という接戦で負けている。

まとめ:ズベレフはチャンピオンになれるのか?

2022年シーズンは、世界のトッププレーヤー同士のレベルが非常に拮抗し、いくつもの接戦が生まれることになるだろう。つまり、決定的な局面で、アグレッシブさ、正確さ、そして忍耐力をうまく組み合わせられるプレーヤーが勝つこととなる。ズベレフは緊張した状況でも集中力を切らさず、自分の感情を適切にコントロールできる選手となれるのだろうか?とりあえず、彼が来シーズンに大きな成果を上げるための総合的なパッケージを持っていることは間違いないと言えるだろう。

(画像=alexzverev123)
(ヘーガー氏の公式サイト=philipp-heger.de