セリーナ・ウィリアムズとヴィーナス・ウィリアムズは、地球上で最も人気のあるテニス選手だと言える。しかし、興味深いのは、WTAツアーでの成功にも関わらず、ウィリアムズ姉妹はジュニアグランドスラムに一度も出場したことがないのだ。今回は、その理由について紹介させていただきたい。
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Venus Williams-FIRST African-American to be ranked #1! Credited with ushering in a new era of power tennis & athleticism. Held a 63–0 record on the USTA junior tour & was ranked No. 1 among the under-12 players in Cali. Turned pro at 14yrs old & changed tennis.#servingIUP #BHM pic.twitter.com/rbgE4n2rfO
— Serving It Up (@Serving_It_Up) February 28, 2021
ウィリアムズ姉妹がジュニアのビッグトーナメントを回ることに積極的でなかったのは、決して実力不足だったわけではない。父リチャード・ウィリアムズの意向によるものだと言われている。
リチャードがこの決断に至ったのは、ビーナス・ウィリアムズが11歳、セリーナ・ウィリアムズが10歳のときだった。当時、姉のビーナスは全米テニス協会(USTA)のジュニアツアーで63勝0敗、南カリフォルニアの12歳以下のカテゴリーで1位を獲得していた。一方、妹のセリーナは49戦中46勝で、フロリダでは主に10歳以下のカテゴリーに属していた。
父のリチャードはある取材で以下のようにコメントしている。
「スポーツが唯一の出世する方法だと思っている黒人が多すぎるんだ。しかし、スポーツは教育を受けるための手段に過ぎない。私は子供たちにバランスの取れた人間になって欲しいと思っている。アスリートは、あまりいいロールモデルにはなれない。テニスと一緒に、教育も発展させていってほしい」
しかし同時に、セリーナはそれが誰にとっても最良の行動ではないと話していたこともある。
「いろいろな要素があるの。私の父は偉大なコーチであり、偉大な思想家。私が言いたいのは、ジュニアでプレーしないと、スポンサーを得ることが難しいし、テニスにはお金がかかる。人によっては、ジュニアでプレーすることが賢明なこともあるの。幸いなことに、私たちは何とかやっていけた」
文武両道を貫いた方針をとっていたリチャードは、自身の娘たちの人生の選択肢をテニスに限定したくなかったということなのだろう。彼の型破りなエピソードにはいつも驚かされる。
(画像=@venuswilliams)