【全仏優勝】ナダルに対する海外メディアの反応は?【結論:大絶賛】

 

2022年の全仏オープンは、ラファエル・ナダルがキャスパー・ルードを破り、同大会で14回目のタイトルを獲得するという圧巻の幕切れを迎えた。今回は、tennis.comのコラムを元に、ナダルに対する海外メディアの反応を紹介させていただきたい。

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極限状態(麻酔注射を打った状態)で弟子を倒したナダル

ローラン・ギャロスの男子決勝の第3ゲームで、ルードはナダルのリターンゲームをブレイクした。ナダルの最後のフォアハンドがネットに落ちると、ルードは頭を下げてサイドラインに向かって歩き、チェンジオーバーをした。その途中、彼が顔を上げると、ナダルがネットの前で、先に反対側の椅子へルードが行けるように道を譲っていた。ルードは少し驚いて、ナダルを待たせないように残りの距離をジョギングして移動した・・・。

これはルードのマナーの良さの表れであり、36歳のスペイン人と23歳のノルウェー人の関係の表れでもある。ルードはナダルのアカデミーで、かなりの時間をかけてトレーニングを受けている。一人はアイドル、もう一人は熱烈なファン。一人は師匠で、もう一人は生徒。そして何より、一方は14回目の全仏オープン決勝に挑み、もう一方は初めての決勝に胸を躍らせていた。

試合は、この2人の間で予想されたとおりの展開となった。2時間18分、ナダルはクレーコートでクリニックを開き、ルードは終始ラリーの主導権が握れず、バックハンドのリターンを入れるのに苦労し、結局試合の足がかりをつかめないままだった。ナダルの6-3, 6-3, 6-0の勝利は、パリでの14回の決勝ラウンドの勝利の中でも、最も一方的なものだったと言える。

ナダルは、ピンチを迎えることもなく、奇跡のパッシングショットで観客を沸かせる必要もなかった。しかし、肋骨の怪我や足の痛みに悩まされていた彼にとって、この勝利は大きな意味を持つものだ。試合前には、足の神経を麻痺させる注射を打っていた。

「私にとって、このトロフィーを再び手にすることは、すべてを意味するんだ。だから間違いなく、ある意味で予想外の、感動的な勝利だったんだ。あぁ、とてもうれしいよ。この2週間は、正直言って最高の2週間だったね」ーラファエル・ナダル

ジョコビッチの制圧から再びナダルの時代へ

この試合は、ナダルの最も記憶に残る試合ではなかったかもしれないが、フィリップ・シャトリエの舞台で最も静かな威厳のあるパフォーマンスを見せた試合のひとつだった。またしても、クレーキングは、チェス・マッチ的な側面でその卓越した技を披露した。

ルードのバックハンドに高い球を打って押し戻し、素早く前に出てクロスコートでオープンコートにボールを振り抜く。フォアハンドのドロップショットでルードを前に出し、追い越す。ナダルは、鋭い角度でボールを操り、ルードがギアを入れ替える前に、ライン上にボールを打ち込んだのだ。

一方ルードは、グランドスラムの決勝という独特の雰囲気に慣れるのに苦労したことを認めている。

「最終的にどこでプレーすればいいのかよくわからなかったし、コートを走り回らされすぎたんだ。クレーコートでラファに対して守備的にプレーしていると、彼に食べられてしまうんだ」ーキャスパー・ルード

ナダルの優勝により、彼は22個のグランドスラムタイトル保持者となり、ノバク・ジョコビッチとロジャー・フェデラーに2つ差をつけることに成功した。また、WTAも含めれば、彼はセリーナ・ウィリアムズの保持する23個の記録にも迫っている。しかし、決定的な断定をするのはまだ時期尚早だ。

昨年のこの時期、ジョコビッチの神話的なタイトルへの挑戦は止められないように思えた。彼は全仏オープンでナダルを破り、その後のウィンブルドンではナダルとフェデラーに並ぶスラム20勝を達成した。未来は彼のものであるかのように見え、GOATレースはすべて終わったかのように見えた。しかし、今スラムで優位に立っているのはナダルだ。

パリからの愛を感じたナダル

これからナダルのキャリアはどんな展開を迎えるのだろうか?彼は、足の持病であるミュラー・ワイス病がキャリアの終止符になる可能性があると発言している。来週には新しい治療法として、神経を少し焼くことを試すつもりだそうだ。もし、それがうまくいけば、ウィンブルドンに出場し、年間グランドスラムの偉業に挑むことになる。

しかし、もしうまくいかなければ、ナダルは再び手術を受けるかどうかを決めなければならない。36歳になったばかりの今、そのリスクを冒してまでキャリアを延長する価値があるのかないのか?一つ確かなのは、もし彼がプレーを続けなかったとしても、すでに全豪オープンと全仏オープンで初の連覇を果たした栄光は永遠に語り継がれるということだ。

ナダルが長髪のティーンエイジャーだった頃、ローラン・ギャロスの観衆は彼を歓迎していなかった。最初は、彼が自分たちのお気に入りであるフェデラーの片手バックを封じる、残忍なスピナースタイルをとることが気に入らなかったのだ。ナダルの叔父であるトニーは、2009年にナダルがロビン・ソダーリングに負けた時、観衆を「愚か者」と呼んだこともある。

だが、今年は違う。もしかしたら、長く続いたパンデミックの中、ファンがナダルを恋しがったのかもしれない。または、観客の中にスペイン人が多かったのかもしれない。あるいは、ラファ自身が言ったように、彼が永遠に現役でいるわけではないこと、そして必ずトーナメントを勝ち抜けるわけではないことを悟ったのかもしれない。理由はどうであれ、この2週間、彼らは15年前には考えられなかったような盛り上がりで、彼に声援を送り、彼の名前を叫び続けた。

「ここに来た最初の日からのサポートには、いくら感謝してもしきれないよ。とても感動した」ーラファエル・ナダル

ナダルは、パリで愛を感じたのだ。このタイトルを何度も獲得するための彼の努力は、彼自身のキャリアを高めただけでなく、ローラン・ギャロスをも高めた。この大会のために、勝つために必要なことは何でもしてきたのだ。

(画像=https://twitter.com/rolandgarros)