【ATP/テニス】メドベデフが自身の試合中の態度について語る。「ブーイングより声援の方が好きだ」

 

テニスユーザーから強い人気があるかどうかは別として、はっきりとしているのはダニール・メドベデフが一味違うプレーヤーであるということだ。ユニークな個性を持ち、効果的であると同時に異端なプレースタイルを持つロシア人プレーヤーは、ビッグ3の栄光の座を引き継ぐ最有力候補として浮上している。現在の世界ランキングで2位につく彼はsport-express.comのインタビューに出演し、長く刺激的だった今シーズンを振り返った。

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メドベデフは25歳という年齢で、今年のUSオープンで初めてのタイトルを獲得し、世界に旋風を巻き起こしたわけだが、本人にとってもグランドスラムで優勝できたことは誇らしく思っているようだ。彼は以下のようにコメントしている。

 

「USオープンで優勝できた時のプレーのクオリティが、2020年に ATPファイナルで優勝した時のプレーよりも優れていたかどうかは分からないけど、今年のジョコビッチとの決勝戦が、自分のキャリアの中で最も重要な試合であったことは間違いないよ。あのレベルに至るまでは経験を積み、敗北から学び、自分のスタイルを見つけてきた過程があるように感じる。厳しい場面もあったけど、自分にとっては特別な年だったと感じているよ」

 

今年のUSオープンは、ジョコビッチの年間グランドスラムの記録がかかっていた重要な大会だっただけあり、優勝したメドベデフをヒールとして扱う人も多かった。しかし、優勝したことを恥じずに誇りに思っているのは、彼のメンタルにとってプラスな材料だろう。しかし、メドベデフは今シーズンにやり残した事がある。それは東京オリンピックだ。メダル獲得を確実視されていたにも関わらず、ロシア代表のチーム練習をスキップしたのが祟ったのか調整不足に陥りベスト8で敗退してしまった。

 

「東京オリンピックはクレーやグラスツアーの直後だったから、自分のプレーを再構築したり、自分にはまったくメリットのない状況(ポイントが獲得できない状況)に適応することを余儀なくされた。メダルを獲得できなかったのは、合宿をスキップしたこととは関係なく、普通に上手くいかなかっただけなんだけど、あの時は全力を尽くしたつもりさ」

 

加えてメドベデフは、最近テニス界を騒がしているデビスカップのフォーマット変更について、ATPカップを引き合いに出して意見した。

 

「自分はどちらの大会も好きだよ。ATPカップはポイントを獲得できるという利点があるし、グランドスラムの準備大会という側面も持っている。ほとんど経験した事がないから、新しいデビスカップのフォーマットを以前のものと比較することはできないけど、今のフォーマットはとても気に入っているし、今年に優勝して経験した感情は信じられないものだった」

 

今年のロシア代表は、国別対抗戦でまさに一強だった。ATPカップとデビスカップ両方で優勝し、来年の1月1日から始まるATPカップでは2連覇が期待されている。またメドベデフは、独特なセレブレーションをして観客を楽しませるという持ち味を持っているが、当の本人はそのことをどのように思っているのだろうか?

 

「信じてくれ。自分はブーイングよりも、声援を受けた時のほうがずっと楽しい。挑発的な行動をとることもあるけど、観客は自分が本物でリアルなテニスプレイヤーであり、紛い物な選手ではないことを理解している。自分はリアルだよ。だからこそ、多くの人々が応援してくれるのだと感じている」

 

USオープンでの”デッド・フィッシュ・ポーズ”で観客を沸かせてみたらと思ったら、デビスカップで見せたコートを踏みつけるような仕草でブーイングを浴びたりと、変幻自在なアクションが魅力なメドベデフ。きっと彼は、来年もユーモアあるセレブレーションでファンを楽しませてくれるだろう。そして彼はインタビューの最後に、BIG3が引退した後のテニス界について言及した。

 

「人気選手が引退すると問題が起きるのは当然だが、歴史は循環するものだ。今みんなが抱えている未来への不安感は、ベッカーやレンドルがキャリアの終わりを迎えた時、そしてサンプラスやアガシが引退した時に既に存在していたものだ。きっとジョコビッチ、フェデラー、ナダルが成し遂げたように、今後も世界中の人々を感動させる選手が現れるはずだよ」

(画像=medwed33)