過激な2021年シーズンも終わりを迎え、今年もATPアワードの受賞候補者が発表された。今回はその中でも新人王にフォーカスし、ノミネートされた5名を紹介させていただきたい。
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セバスチャン・バエズ(アルゼンチン)
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20歳のバエズは今シーズン、ATPチャレンジャーツアーで1シーズンに6つのタイトルを獲得すると共に、20歳以下の選手の中で年間最多の44勝をマークするという偉業を成し遂げた。ちなみに、年間44勝はティアフォーの42勝を抜きさり過去最多記録となった。
ATP公式サイトによると、彼の身長は170cmであり、これは同郷の先輩であるシュワルツマンと全く同じである。どうしてもサイズ不足感は否めないが、バエズの一番の特徴は、それを補う足の早さと高確率のファーストサーブだ。特にファーストサーブは78%の高確率で沈めており、エース狙いではなく、長いラリーのテニスへ振り切っている事が窺える。
ジェンソン・ブルックスビー(アメリカ)
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ブルックスビーは、今年のUSオープンが行われるまでは全くもって無名の選手だった。しかし同大会の4回戦で、ジョコビッチ相手にファーストセットを6-1でセットアップするというビッグムーブを起こし、瞬く間に注目の新人選手として扱われる様になった。
ATPチャレンジャーツアーでは、すでに3つのタイトルを獲得しているブルックスビー。彼のプレースタイルは、強烈なサーブと得意なフォアハンドで試合を形作っていく、いわゆるサンプラスがやっていた王道のアメリカンスタイルだ。来シーズンでは、チャレンジャーではなくATPトーナメントの本戦で根を張ることが目標となるだろう。
フアン・マヌエル・セルンドロ(アルゼンチン)
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セルンドロのハイライトといえば、今年の2月に開催されたコルドバOPだろう。彼は予選を無事に突破し、キャリア初のATP本戦出場を果たしたのだが、何とそのまま優勝してしまった。ATP本戦に初出場し、そのままタイトルを獲得するのは、2004年のサンティアゴ・ベンチュラ以来の快挙であり、ツアー中を驚かせた。
サウスポーであるメリットを存分に生かし、長いラリーも嫌がらないクレーコーターであるセルンドロは、ネクストジェンファイナルズに出場した選手の中で唯一、カルロス・アルカラスからセットを奪ったプレイヤーでもある。直近のチャレンジャー大会では準々決勝で敗退してしまうなど、まだ安定感が足りないが、将来が期待される選手の中の1人だ。
ヒューゴ・ガストン(フランス)
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ガストンのブレイクアウトは、既に先シーズンから始まっていた。彼の名を聞いた時に、昨年のローラン・ギャロスでベスト16に進出し、ティエムと5セットの死闘を繰り広げたことを思いだすファンは多いだろう。そしてガストンは、今年も11月のパリ・マスターズで予選出場者ながらベスト8に進出し、決してパッと出の一発屋ではないことを証明して見せた。
フランスといえば、ガスケやツォンガ、モンフィスといった癖のあるプレーを持つ選手が多いが、ガストンは決して彼らの様なお洒落ショットを打てるわけではない。しかし、オーソドックスにミスの少ないテニスをする彼は、ツアーで長く存在感を放つだろう。後は、課題のサーブを改善する必要がある。
ブランドン・ナカシマ(アメリカ)
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昨年から徐々に注目を集めていたナカシマ。彼はその真面目で謙虚な性格を活かし、着実に成長を遂げている。目立ったタイトルを獲得することは出来なかったが、ロス・カボスOPとアトランタOPでファイナリストとなり、ロディック以来の10代で複数のツアーの決勝に出場したアメリカ人選手となった。
現在アメリカにトップ10プレーヤーは存在しないが、ここ数年で期待の若手が何人も出現してきた。先述したブルックスビーもそうだが、コルダとマクドナルドもツアー内で無視のできない存在となってきている。しかしナカシマは、この世代の中では頭一つ抜けた運動能力とフィジカルを持っており、そのメリットをどうテニスに活かしていくのかが、今後のキャリアのポイントになるだろう。
(画像=brandon_nakashima)