テニス界に新しく生まれた2つのスタッツ「Conversion」と「Steal」について解説【草トー選手必修内容】

 

今年のマイアミOPが開催されるのに伴い、ATPは「Balance of Power(試合中の攻撃と防御の内訳)」というスタッツを発表し話題となったが、先日さらに「Conversion」「Steal」という2つの新たなスタッツを公開した。ATP公式サイトが報じている。

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Conversionとは?

Conversionは、プレーヤーが攻撃的なポジションに立った時、どれだけの確率でポイントを獲得したのか数字で表したものだ。つまり、Conversionを見ることで、その選手のオフェンスのクオリティを推し量ることができる。

モンテカルロ準々決勝進出者 Conversion率
グリゴール・ディミトロフ 72%
ダビドビッチ・フォキナ 71%
ステファノス・チチパス 68%
ディエゴ・シュワルツマン 68%

上記の表は、モンテカルロで準々決勝に進出した8名の内、上位4名の大会中のConversionを示したものだが、モンテカルロを優勝したチチパスは68%と高いConversion率を誇っており、質の高いオフェンスを展開していたことがよく分かる。

加えて、上記のグラフは、モンテカルロ準決勝のカードとなったチチパス対ズベレフ戦のBalance of PowerConversionを並べたものだが、チチパスは71%(24/34)、ズベレフは43%(16/37)Conversionに大きな差が生まれていたことがはっきりする。

Stealとは?

Stealは、プレーヤーがディフェンスに回った時、どれだけの確率でポイントを獲得したのか測定したものだ。つまり、Steal率が高い選手は、強固なディフェンスとカウンターショットを併せ持つ選手だと言える。

モンテカルロ準々決勝進出者 Steal率
ディエゴ・シュワルツマン 43%
ステファノ・チチパス 42%
ダビドビッチ・フォキナ 40%
グリゴール・ディミトロフ 40%

上記の表は、先ほどのConversionと同じ条件で、選手たちのSteal率を示したものになる。トップに立ったのは、高い機動力を武器とするシュワルツマンで、それに次ぐチチパスもほぼ変わらない数字を叩き出している。

ちなみに、ツアー平均のSteal率は35%と言われており、上記の通りズベレフ戦でチチパスが記録したSteal率57%という数字は、かなりの高水準となっている。ConversionとStealを見れば、チチパスが攻守共にズベレフを圧倒していたことが分かるのだ。

他のスポーツに比べて、試合を研究するスタッツ面が充実していないと嘆かれていたテニス界において、このような新しい指標が生まれることはとても喜ばしいことだ。今後もテニスは魅力的なスポーツとして存在し続けることだろう。

(画像=https://www.instagram.com/stefanostsitsipas98/)
(グラフ=https://www.atptour.com/en/news/tsitsipas-among-conversion-and-steal-leaders)