【引退】黄金世代と凌ぎを削ったツォンガのトロント制覇を振り返る

 

元世界5位であるジョー・ウィルフリード・ツォンガは先日、自身が運営するテニスアカデミーのYouTubeチャンネルで、今年の全仏オープンを最後に引退する意向を発表した。そこで今回は、彼が2014年にトロントで獲得したマスターズでのタイトルを振り返っていきたい。sportskeedaが報じた。

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「次の全仏オープンで選手生命を絶つという決断を、大きな感慨をもって発表します」

ツォンガVSジョコビッチ(3回戦)

結論から言うと、ツォンガはトロントで衝撃的なランを成功させている。なんと、BIG3の内2人、加えてトップ10の内の2人を破り、自身2度目のマスターズタイトルを獲得したのだ。当時、第13シードとして出場していたツォンガは、まず3回戦で、絶対王者のノバク・ジョコビッチと対戦した。

言わずもがな、ジョコビッチは当時の優勝候補筆頭であり、しかもツォンガにとっては9連敗中の相手だった。しかし、蓋を開けてみるとジョコビッチはツォンガのパワープレーに全く歯が立たず、6-2, 6-2というスコアに終わった。

ツォンガは優勝会見で、この時の試合を「6-2,6-2で勝てたから、ちょっと不思議な感じだった」と回顧している。

ツォンガVSマレー&ディミトロフ(準々決勝、準決勝)

 
 
 
 
 
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その後、ツォンガは、準々決勝で当時世界ランキング9位だったアンディ・マレーに挑んだ。鉄壁の守備を披露する彼を相手に、ツォンガは7-6(5),6-4と試合運びの巧さを見せつけた。

続く準決勝では、第7シードのグリゴール・ディミトロフとの対戦が実現した。ちなみにツォンガにとってディミトロフは、過去の対戦成績が3戦全敗と得意な相手ではなかった。しかし、ユーティリティ溢れるディミトロフのプレーを、得意のポジションを前に詰めるテニスで押さえ込み、6-4, 6-3のストレートで勝利をものにした。

ツォンガVSフェデラー(決勝)

 
 
 
 
 
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ツォンガの決勝の相手は、マリン・チリッチ(3回戦)とダビド・フェレール(準々決勝)を破った”テニス界のGOAT”ことロジャー・フェデラーだった。

第2シードだったフェデラーは、すでにトロントを2回制覇した経験を持ち、しかもツォンガとの直接対決では11勝4敗と大きなリードをしていた。

しかし、フェデラーは、ツォンガの強固なサービスゲームを攻略することが出来ずに7-5,7-6(3)で敗北。これによりツォンガは、2008年のナダルが達成して以来、同じ大会でジョコビッチ、マレー、フェデラーを破った初めての選手となったのだ。試合後にATPのインタビューに応じたツォンガは、当時の心境を以下のように語っている。

「僕にとっては、素晴らしいことだ。倒してきた人たちは、僕のキャリアで苦労させられた選手ばかりだからね。彼らは歴史上最高のプレーヤーさ。1つの大会で、連続して彼らを倒すことができたのは、僕にとっていい報いだったよ」

ツォンガの言うことは正しい。彼の世代はテニス界の歴史に残る黄金世代であり、もし違った年代に生まれていたら、彼がもっと華々しいキャリアを歩んでいた可能性も否定できない。

しかし、ストローカー全盛期である現代において、積極的にネットへ挑む彼の姿は、テニス界に戦績以上のインパクトを残した。数多の怪我を乗り越え、ライバル達に肉薄したツォンガの栄光は、今後も語り継がれていくことだろう。

(画像=@tsongaofficial)