ワクチン接種を免除されたジョコビッチは”特別扱い”なのか?【彼は接種状況を隠すべきだった】

 

批判の声が集まっているジョコビッチに対する医療免除問題だが、実際のところは何が問題なのだろうか?海外テニスサイトsportskeedaにコラムが掲載されていたので、正しく今の状況を理解するためにも、今回はそれを紹介させていただきたい。

【関連記事】復帰戦を勝利した大阪なおみの記者会見を日本一深掘りする。

今のジョコビッチは特別扱いにしか見えない

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Novak Djokovic(@djokernole)がシェアした投稿

これまでの2年間、ノバク・ジョコビッチの予防接種に対する姿勢を擁護するには、「行動は言葉よりも雄弁」という決まり文句を引用するのがピッタリだった。

2020年のインタビューで、ジョコビッチは「いかなる種類のワクチン接種にも反対しない」と公言した。なぜなら、「医療の現場で世界中の命を救ってきた人たちがいるのに、自分はワクチンについて語ることができるだろうか」と彼は考えていたからだ。ジョコビッチはその後、自国セルビアのトーナメントで、選手へのワクチン接種活動を行った。

ジョコビッチは、ATPツアーでワクチン接種を義務付けるべきではないと繰り返し主張していたが、彼の上記のような行動は、ただのアンチワクチン主義者の典型ではなかったことは確かだ。これまでは、誰も彼自身のワクチン接種状況を疑問視する法的根拠を持たず、すべてが順調に進んでいたと言えるだろう。

しかし、ジョコビッチにとって最も成功したスラム大会でもある全豪オープンが、ワクチンを接種していない選手の出場を認めないことが明らかになった瞬間、世間の目は瞬く間に彼へ集まることとなった。ワクチン接種をするか、それともメルボルンでの栄光のチャンスを逃すかという選択を迫られたジョコビッチは、この問題について防御的な姿勢を貫いてきた。

去年の10月、ジョコビッチは予防接種の状況について質問された際、メディアが “恐怖 “と “パニック “を広めていると非難し、2021年の全豪オープンで導入された厳しいCOVIDプロトコルを徹底的に批判した。そして、この会見で最も注目された本質は、2022年のメルボルンスラムに出場する自信がないと、ジョコビッチ本人が主張したことだ。

ある意味、ジョコビッチはこの時に、今や誰もが知っている事実を明確にしていたと言える。彼は、ほぼ間違いなくワクチンを接種していないのだ。

それにも関わらず、結果的にジョコビッチは医療免除を受けたことで、全豪オープンに出場できることとなった。これは、ナタリア・ヴィクリャンツェワ(ロシア製のワクチンがオーストラリアで認められていないためにプレーできない)や、アマン・ダヒヤ(インドが18歳未満のワクチン接種活動を開始していなかったためにプレーできない)のような選手とは対照的な措置と言える。

ジョコビッチのケースは特例として片付けられるのか?

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Novak Djokovic(@djokernole)がシェアした投稿

ノバク・ジョコビッチがどのような理由で免除を受けたのか、正確なところは不明だ。しかし、今のところ分かっているのは、彼の医療免除申請が2つの異なる専門家チームによる”厳格な”審査を経たということだ。以下が全豪オープンを主催する団体のテニスオーストラリアから発表された声明だ。

「ノバク・ジョコビッチは全豪オープンに出場するために、オーストラリアへ向かっています。ジョコビッチは医療免除を申請し、2つの独立した医療専門家委員会による厳格な審査を経て認められました」

ワクチンを医学的に免除することは、専門家が判断したことであれば正当なことであり、我々はそれを疑問視できる立場ではない。

しかし、このやり方にはもちろん問題が残る。他のワクチン接種にトラブルを抱えている選手よりも、世界王者が優遇されることはモラルとしてどうなのか?さらに言えば、ジョコビッチほどの影響力を持つ人間の行動が、一回限りの特例として片付けられるのだろうか?

ジョコビッチがワクチン接種の有無を明らかにしなかったことは、彼がメディアを非難したのと同じ理由で、テニス関係者や大会運営スタッフに混乱とパニックを引き起こしていた。世界中がパンデミックに見舞われている今、個人がワクチンを接種しているかどうかは、プライベートな問題ではあり得ないのだ。

例えば、あなたが会社の入社式に出社する時、参加する人全員が自分の接種状況を開示していないとしたら?あなたは本当に何の恐れもなく入社式に臨めるだろうか?また、仮に参加を拒否した場合、次の日に何食わぬ顔で同期の前に顔を出せるだろうか?

上記の例えは極端かもしれないが、ジョコビッチが予防接種を受けていることを明かさずに全豪オープンに出場した場合も、会場にいるスタッフすべての人に同様のダメージを与えるのだ。ファンは試合中にジョコビッチに近づかないように警戒し、メディアは記者会見でジョコビッチの近くに座らないようにし、ボールキッズは目を閉じて祈るしかないのだ。ワクチン接種を受けた人が、少数の受けていない人のために、自分の権利を放棄するように求められるのは間違いではないだろうか?

もしかしたら、そんなに感染リスクを嫌がるなら、ファンやジャーナリストは家にいたほうがいいと思う人もいるかもしれない。しかし、テニスだってビジネスだ。去年の全豪オープンが背負った約87億円の大規模な赤字を忘れてはいけない。

私たちがジョコビッチを批判することは出来ない

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Novak Djokovic(@djokernole)がシェアした投稿

はっきり言って、ジョコビッチが医療免除に頼ったことを批判するのは不当だ。もし彼に正当な医学的問題があるならば、彼は間違いなく免除を受けるべきだからだ(彼はアレルギーと呼吸器系に問題を抱えている)。詳しい状況が分からない今、ジョコビッチを批判するのは間違いだろう。だが問題なのは、彼のコメントが発信しているメッセージ性だ。

ジョコビッチは本来、自分の予防接種の状況について黙秘を貫き、単に全豪オープンへ出場することを公表するだけで良かったのだ。しかし、ジョコビッチは免除を受けたことを、事実上明らかにしてしまったことで、世界中に蔓延しているアンチをさらに増長させてしまった。

ジョコビッチのSNSにポストした投稿は、ワクチン未接種である人に大きな影響を与えることになる。本来、中立の立場を保つべきジョコビッチが、非ワクチン接種派のヒーローとして祭り上げられてしまうかもしれないのだ。余計なトラブルを起こしたくないと考えているのであれば、やはり接種状況については厳密に非公開にするべきだっただろう。

ジョコビッチは接種状況を最後まで隠すべきだった

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Novak Djokovic(@djokernole)がシェアした投稿

ワクチン推進派か反ワクチン派かは個人の自由であり、ワクチンを接種する義務はないという意見もある。しかし、残念ながら、この議論には何のメリットも存在しない。

なぜなら、科学的証拠として、ワクチンがCOVID-19パンデミックに対抗するための非常に重要なツールであることが分かりきっているからだ。そうでないと主張する人は、盲目で妄想的であるだけでなく、このウイルスのために亡くなった何百万人もの人々に対して無神経であると言わざるを得ない。

しかし、ジョコビッチはその点で言えば、無神経な人間ではないはずだ。彼の数多くのチャリティ活動や心優しいジェスチャーからもそれは伝わってくる。

ジョコビッチがワクチンについてどのように考えているのか、誰にも確かなことは言えない。もしかしたら、近い内に自分のスタンスを明確にするかもしれないし、コロナワクチンが世界の感染対策に欠かせないものであることを認める日が来るかもしれない。だが、彼がそれを認めない限り(その可能性は低い)、引き続き混乱は巻き起こる。

大会主催者(およびATP)としては、ジョコビッチがこれまで通り、自分の状態について詳細を伏せておくことを望んでいたはずだろう。加えて、それを無視したように、彼がSNSへ投稿した内容は、ジョコビッチと大会関係者達の関係の悪化にも繋がるかもしれない。

ジョコビッチは、2022年の全豪オープンで、どのような選択肢を選んでも、アンチを増やしてしまう立場を自ら作り出してしまった。コロナウイルスの脅威を気にせずに、テニスを観戦することが出来る日は来るのだろうか?

(画像=djokernole)