USオープンを優勝したアルカラスに対する海外メディアの反応を紹介「彼がコートに立つたび歓迎し続ける」

 

カルロス・アルカラスは、キャスパー・ルードの猛追を退け、グランドスラム初タイトルを獲得し、世界王者の座も手に入れた。ニューヨークでテニスの楽しさを再発見した彼は、多くのファンを魅了したわけだが、今回はTennsi.comの記事を元に、決勝の様子を振り返っていきたい。

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ファンの期待に応えられなかった夏

アルカラスは、自身初のグランドスラム決勝に至るまで、長い道のりを歩んだ。コート上で累計20時間以上を費やし、3試合連続で5セットマッチを戦ったのだから当たり前だ。

試合が始まる前、アルカラスの疲労度を心配するファンは多かっただろう。昨年、ノバク・ジョコビッチが、決勝までに同じようなエネルギーを消耗するような戦い方をし、それが仇となったことを考えると、自然な反応だとも言える。年間グランドスラムを狙っていたジョコビッチは、メドベデフを相手にする頃には疲弊しきっていた。

年齢の差が出たとも取れるかもしれないが、アルカラスも人間だ。いくら若いとは言え、疲労していたことは違いない。あるブックメーカーでは、アルカラスとルードにオッズの違いはほぼ生まれず、僅差の勝算とされた。

アッシュに来る前のアルカラスは、シーズン序盤の勢いを失っており、優勝争いのメンバーの中でも競争力が低い位置にいた。理由は単純で、夏のハードコートシーズンに入ってから、軽いスランプに陥っていたからだ。モントリオールではトミー・ポール、シンシナティではキャメロン・ノリーを相手に早期敗退していた。

恩師の言葉で復活したアルカラス

そんなアルカラスの姿を見て、コーチであるファン・カルロス・フェレーロは、彼がフラストレーションを溜め込んでいるのを察知し、新たな目標を与えた。

「シンシナティの後、彼と話したことのひとつに、自分のゲームではなく、数字やトーナメントを気にし過ぎているのではないかと指摘したことがあった」

「彼には『ショートボールが来たらネットに向かうように』とアドバイスした。今週はずっとその練習をするようにしたんだ。そのおかげで、短いボールが来たら、コート上でより良い感覚を得られるようになったみたいだよ。彼はとてもいい感じだった」

この作戦は功を奏した。アルカラスは攻撃的なメンタリティを手にし、決勝ではネットプレーをした45本中34本をポイントに繋げることに成功している。

「フェレーロが言ったように、モントリオールとシンシナティでは、少し喜びを失っていたんだ。プレッシャーを感じていた。プレッシャーのせいで、コート上で笑顔になれなかったんだ」

「僕は、ただ楽しむためにここに来たんだ。コートの上で笑顔でいること、テニスを楽しむこと。もちろん、テニスが大好き。もし、僕が笑顔で楽しくプレーできたなら、最高のテニスができたはずだよ」

アルカラスが進むべき道

渾身のサーブを前に沈黙したルードを見ることもなく、アルカラスはコートに平伏し、優勝の味を噛み締めた。そして、彼は微笑んだ。テニスをする喜びと彼の強さが戻ってきた。アルカラスは、自分の仕事に対する熱意で、世界中に新しいファンを開拓した。

準決勝でアルカラスに敗れたフランシス・ティアフォーは、「彼は今後ずっと、僕たちの障害になるだろうね」と語ったが、テニスへの情熱を失わない限り、アルカラスは全てのプレイヤーにとって悩みの種となり続けるのは間違いない。

しかし、テニスファンにとっては話が別だ。私たちは、新たな王者の誕生を祝福し、アルカラスがコートに立つたびに、彼のことを歓迎し続けるだろう。

(画像=https://www.instagram.com/usopen/)