【知ってた?】17歳のガウフが世界ランキング22位まで上り詰めている衝撃の事実【過小評価されている選手特集】

 

WTAの2021年シーズンは波乱に満ち溢れ、世界中のファンを熱狂させた。大阪なおみの全豪オープン優勝や、USオープンの決勝戦でエマ・ラドゥカヌとレイラ・フェルナンデスの10代対決が実現したりと、輝かしいヒロイン達に事欠かなかった年だったのは間違いない。しかし、ツアー全体をもっと大きな視野で覗いてみると、メディアのレーダーに感知されなかった隠れヒロインも何人か存在する。そこで今回は、本来の活躍に対して過小評価されているWTA選手を紹介させていただきたい。

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17歳のココ・ガウフのキャリアは始まってさえいない

 
 
 
 
 
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ラドゥカヌがUSオープンを制覇したことで、最も勢いのあるティーンエイジャーは彼女だと感じている人も多いかもしれないが、彼女の2歳年下であるココ・ガウフの成長ぶりも忘れないで欲しい。

 

ガウフは2019年のウィンブルドンで、初のグランドスラム本戦出場にも関わらずベスト16まで勝ち進み大きな注目を集めた。しかも当時の彼女はまだ15歳。ウィンブルドンの長い歴史の中で、史上最年少で本戦へ出場するという前人未踏の記録を打ち立てた。この年のUSオープンでは大阪なおみとも対戦しているため、日本人の我々にとっては馴染みのある選手と言えるかもしれない。

 

そして、ガウフの素晴らしいところは、年齢にそぐわない安定性を兼ね備えていることだ。USオープンを制覇した後にラドゥカヌがスランプに陥ったように、若い選手は好不調の波が激しいのが普通だが、ガウフは毎年着実にランキングを上昇させ続けている。2年前は68位だったランキングも今や22位だ。更に、キャリアを通じて大きな怪我をしていないこともプラス材料になるだろう。彼女は17歳という年齢で既にスター選手に必要な要素を揃えつつあるのだ。

 

今シーズンはイタリアのパルマで2個目のタイトルを獲得し、ローラン・ギャロスでは初めての準々決勝進出を果たしたガウフ。練習熱心な彼女は今後も進化を続けることだろう。

スペインの助っ人に引っ張りあげられたディアス

ガウフのようにフレッシュな選手の活躍はとても刺激的だが、ベテラン勢の活躍も見ていてとても勇気づけられる。ヌリア・パリサス・ディアスという選手はご存知だろうか?

 

ディアスは2006年からツアーに参加している選手だが、30歳を迎えた今シーズンまで本戦に出場したことはなく、去年の年末ランキングは232位と決して日の目を浴びるような選手ではなかった。しかし、下部大会も含めるとは言え今年は7つのタイトルを獲得し、ランキングも65位まで上昇。30歳で初めて世界ランクトップ100に到達したのは、歴代4番目の遅さの記録である。

 

しかし、彼女が遅咲きの選手となってしまったのには理由がある。それは肩の怪我だ。この怪我はかなり深刻なもので、医者からはキャリアが終わるかもしれないと診断され、2015年の夏から2016年の秋までツアーに参加することができなかった。キャリアの最盛期に成長する機会を逃したディアスにとって、当時の絶望感は相当なものだっただろう。

 

そんなディアスのキャリアが好転するきっかけとなったのは、2020年シーズンがロックダウンしていた時に、同じテニスプレイヤーであったカルロス・ボルダ・プルキスをチームに加えたことだ。スペイン出身のプルキスは、ジュニア時代に”ニュー・ラファエル・ナダル”と呼ばれ将来を期待されていたが、ツアーでは結果を残せずに燻っていた。そこでディアスとの交際を機に引退を決断。そのまま彼女のコーチとなった。元々、ディアスはフラット系のボールが武器の選手だったのだが、プルキスが仕込んだスペイン式の粘り強いフットワークが更に彼女を成長させ、今シーズンの快進撃へと繋がったのだ。

 

コロンブスOPで優勝した時には「自分の限界が分からなくなっちゃった」と語ったディアス。今後もプルキスと共にツアーを戦い抜いていくに違いない。

神童タウソンが見つけた可能性

 
 
 
 
 
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今シーズン、キャリアで初めてのタイトルを獲得した選手は17人おり、そのうちの1人がクララ・タウソンだ。

 

今年19歳になったばかりの元ジュニア世界ランク1位のタウソンは、プロへ転向した2017年から将来を期待されていた神童だ。プロ選手として初めて出場したアンタルヤ22では、下部大会とは言え準決勝に進出。その後も安定した成績を残し、2020年の終わりには世界ランキングが151位まで上昇させ、とうとう今シーズンのリヨンOPで初タイトルを獲得した。彼女の成長速度は先述したガウフに通じるものがある。

 

彼女の特筆すべき特徴は、インドアハードコートでの圧倒的な戦績だろう。獲得したタイトルのリヨンとルクセンブルクはどちらもインドアであり、シーズンが終わってみれば18勝2敗(本戦14勝2敗、予選4勝)という圧倒的な記録を叩き出した。得意なサーフェスがはっきりしていることはテニス選手にとって間違いなくプラスであり、ランキングを安定させることにも繋がる。

 

WTAの公式サイトでは、次世代のペトラ・クビトバとの声を上がり始めているタウソン。同年代のラドゥカヌやフェルナンデスと共に、5年後にはツアーの頂点を独占しているかもしれない。彼女の今後の戦績には要注目だ。

今の女子ツアーに必要なのは絶対的なクイーン

 

男子ツアーは長らくBIG3による独裁政権が続いていたが、それとは裏腹にセレナが怪我で離脱してからの女子ツアーは、若い世代からどんどんグランドスラム優勝者が現れるカオスな時代がやってきている。これはこれで面白いのだが、多くのファン達はそろそろ戦国時代を終わらせる絶対的な選手の登場を望んでいるだろう。

 

何故なら、選手の流れがあまりにも流動的すぎて、記憶に残らない選手がとても増えてきているからだ。一発屋の選手が悪いという訳ではないが、女子ツアーの将来的な人気上昇を見据えたとしたら、群雄割拠となっているツアーを統治してしまうようなスター選手がそろそろ欲しい。

 

もちろん、既に大きな存在感を示している選手もいる。日本の大阪なおみはもちろんその内の1人だし、今後の活躍次第ではラドゥカヌやシフィオンテクといった将来株も、セレナやシャラポワのようなカリスマ性を持った選手になることができるはずだ。

 

男子ツアーと比べると、世代交代が一歩先まで進んでいる感がする女子ツアー。あと数年もしたら、今は不安定な世界ランキングも落ち着きを見せてくるだろう。そうなった時に、女王の座に就いているのは誰なのだろうか?早くも次のグランドスラムである全豪オープンが楽しみだ。

(画像=cocogauff)