現在、大型新人であるベン・シェルトンに大きな注目が集まっている。シンシナティではキャスパー・ルードを倒し、先日には正式にプロ転向も果たした彼だが、ロジャー・フェデラーからシューズを贈られたことからも分かる通り、テニス界からの期待値はかなり高い。そこで今回は、ATP公式サイトに掲載されていた記事を元に、彼の経歴を振り返っていきたい。
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Yes, it’s true, @BenShelton is wearing shoes at the #usopen sent to him by @rogerfederer. pic.twitter.com/cDPlWntV89
— Tim Newcomb (@tdnewcomb) August 29, 2022
アメフトに夢中だったシェルトンの幼少期
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シェルトンの父親は、元ATPプロであるブライアン氏だ。シェルトンは子供の頃から活発で、ブライアン氏がコーチをしていたジョージア工科大学のテニス施設の周りを自転車で走り回ったり、時にはスクーターに乗って遊んでいたそうだ。
シェルトンが最初に関心を示したスポーツは、アメリカン・フットボールだ。花形ポジションであるクォーターバックを務め、左利きだったこともあり対戦相手は四苦八苦していたそうだ。ブライアン氏はシェルトンの幼少期を以下のように振り返っている。
「幼い頃からテニスは苦手だろうと思っていた。チームスポーツをやらせようと考えていたよ。彼は、同じ歳の頃の私よりもずっと社交的だしね」
「彼は声が大きくて、外向的で、とてもエネルギーに満ちている。私は両親にフットボールをやらせてもらえなかったけど『もし息子ができて、彼がフットボールをやりたがったらやらせてあげるつもりだ』と言っていた」
「息子はフットボールに夢中になった。彼が(テニスに)戻ってくるまでずっと『こいつはかなりいいフットボール選手になるな』と思っていたよ」
ちなみに、ジョージア工科大学を遊び場にしていたシェルトンは、当時、同校のスター選手だったNFL史上最高のワイドレシーバーの1人とも言われるカルビン・ジョンソンと出会っている。
「彼は、僕が9歳くらいのときに誕生日会に来てくれて、サイン入りのボールをくれたんだ。メガトロン(カルビン・ジョンソンの愛称)のファンになったよ」
「彼のアスレチックさが好きだった。彼は他のワイドレシーバーよりも大きかったのに、他の選手と同じように運動神経がよく、スピードもあったからね」
シェルトンがテニスに興味を移したきっかけ
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シェルトンのフットボール愛はかなりのものであり、幼少期はNFLに入ることを夢見ていたようだが、9歳の時に彼の関心を大きく変えた出来事が起きる。父親であるブライアン氏が、フロリダ大学のゲイターズのテニスコーチを引き受けたのだ。
「大学のテニスプレーヤーやプロのテニスプレーヤーになりたいと思うようになったのは、間違いなくこのことがきっかけだよ。身近に感じる人たちが、テニスで素晴らしい活躍をしているのを見ることができたのは、間違いなく自分にとって大きなモチベーションになったと思う」
フットボールやコートの周りをスクーターで回ることに夢中だったシェルトンは、徐々にコート上で起きている魅力的なゲームの方へ興味が移っていった。
「テニスの方が自分にとって将来があると思ったんだ。フットボールは体にかなり負担がかかるし、父が元プロで大学でコーチをしている環境には、テニス選手を目指す上で間違いなく多くの利点が存在したからね」
フロリダ大学に進学してからは、1年生ながらシングルスの5番手として活躍し、チームの全米優勝に貢献した。2年生となった今年にはNCAAシングルスのタイトルを獲得し、特典であるUSオープンのメインドローのワイルドカード枠を手に入れた。フットボールに憧れた影響でシェルトンのテニスキャリアは短めだが、アメリカではまずまずの成績を残して見せた。
ルードも認める存在であるシェルトン
Remember this name: BEN SHELTON 💎
— We Are Tennis (@WeAreTennis) August 17, 2022
Summer revelation, the 19 year old American, who had dedicated himself to the NCAA title until May, beat Casper Ruud in Cincy. His first win against a Top 5 player, for his 4th match on the main tour!
(🎥 @TennisTV) pic.twitter.com/Mvt8IHy3W2
しかし、フットボールに費やした時間は、決して無駄ではなかったと言える。シェルトンの最大の武器であるサーブは、クォーターバックがボールを投げる練習の積み重ねで培われたからだ。ブライアン氏は以下のように語っている。
「それは間違いない。親から受け継いだものもあるといいんだけどね。自分の持っている才能をどう伸ばすかが、本当に大事なことなんだ。フットボールに夢中になって完璧にしようと努力したことが影響して、彼はテニスの世界に入り、サーブを武器にすることができたと思う」
サーブは、シェルトンの躍進のカギとなった。NCAAシングルスで優勝した後、2つのATPチャレンジャー・ツアーで決勝に進み、アトランタではジョン・イズナーをファイナル・セットのタイブレークに追い込み、シンシナティではマスターズデビュー戦で3回戦に進出した。実際にシェルトン相手に敗北したルードは、以下のように語っている。
「もし、彼が残りのキャリアで、毎試合今日のようなプレーをするなら、彼はとても強くなれると思うよ。彼のプレーには、少し驚かされた。彼が若く、新進気鋭で、素晴らしいプレーヤーであることは知っていたけどね。でも、今日の彼は、ラインを描くように必要な場所へボールを打っていたんだ。その姿は、とても印象的だった」
「シェルトンは若く、大胆不敵で、プレッシャーもなくプレーしている。彼は長年にわたってツアーに存在し、私や他の選手にとっても長年の障壁になるだろうね」
シェルトンは、家族のプロセス重視の戦略を理解し、ただ今を楽しんでいる。友だちと映画を見たり、バスケットボールをしたり、プロになったばかりのガールフレンド、アンナ・ホールを応援するのが大好きな19歳だ。将来は明るいだろう。フットボール出身の選手がテニス界で活躍したケースは少ないが、シェルトンからはツアーに爪痕を残すポテンシャルが感じられる。
(画像=https://www.instagram.com/benshelton/)